もともと私には独立志向がありました。20歳くらいのときからいつか独立したいという気持ちは持っていましたが、何をしたいというのはなかったんです。でも人に喜んでもらいたいというのはありました。学生時代に落語をやっていまして。落語をするとお客さんが笑って反応してくれるわけです。人が笑ってくれる、喜んでくれる、その魅力が忘れられないんですね。私たちの世代はバブル経済、日本経済の成長ともあいまって、昇給、昇進はするし、やりたいことをやらせてもらえるし、いい時代を過ごしたと思うんですね。節々では独立しようかという気持ちになったこともありましたが、おしなべて順風満帆でなかったかなと思います。でも43歳くらいのとき、ちょうど団塊の世代の退職について言われ始めた頃です、「私の人生はこれでいいのか?」「このまま退職するまで会社勤めを続けるのでいいのか?」「人が喜ぶ姿、笑顔を見たいという夢は?」と考えたわけです。自分の老後について考えた最初でもありましたね。
一方でその頃、うどんを打ち始めたんです。それはうどん屋をやりたいという想いがあってのことではないんですが。週末の趣味として程度の気持ちです。最初は家族や近所の人に食べてもらっていましたが、だんだんまわりの人も飽きてきますから。友達や同僚に配るようになって。そのうち、パソコンで湯がき方や食べ方の説明書を作ったり、出汁もつけたりと、至れり尽くせり、ほんとに熱心にやっていましたね。うどんも、粉、水、塩の加減を換えてみたり、出汁についてもいろいろ試行錯誤して、それが2年間くらい。43歳〜44歳の頃です。そのうち周りから「うどん屋でもやったら?」と言われるようになっていてですね〜今でこそ商売にしてますが、その頃のはきっと自慢できるようなものではなかったはずです。そんなにおいしいものではなかったと思いますよ(笑)ごますりだったんでしょうけど、そういう周りの声が結果的に背中を押してくれることになったと思うんです。何かしたいという想いと、趣味で始めたうどんが合体した。みんなにおだててもらいながら、今に至るわけです。
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